イギリスにおける「輪行」事情

2011.11.10.08:16

ヨーロッパの国々では、
自転車をそのまま鉄道などの公共交通機関に載せている姿をよく見ます。

いわゆる「輪行」ですが、
日本語のこの言葉には、
サイクリング(=遊び)に行くために自転車を鉄道に載せる
というイメージがつきまといます。

言い換えると、
職場や学校に行くために「輪行」する人はほとんどいない、
という前提があるように思えます。

しかしイギリスでは、
遊びで利用する人はもちろん、
通勤で「輪行」する人も少なくありません。

ロンドン・マリルボン駅の構内。
DSC_2885.jpg
通勤時には、
折りたたみ自転車を押して歩く人の姿が多く見られます。

駅の敷地内を出て、ライドの準備中。
DSC_2898.jpg

ところで、先日このブログでもご紹介した『自転車の安全鉄則』において、
著者の疋田氏は、
「ヨーロッパ各国では、多くの人が自転車を電車に載せて快適に通勤している、
というのは半分は正解だが、半分は間違い。
都市間を結ぶ高速鉄道に自転車スペースが設けられているのは確かだが、
都市内の路面電車、地下鉄、郊外線は自転車の搭載が禁止されている。
というのも、都市内を移動するだけなら自転車に乗ればいいだけだからだ」
(p214)
と述べています。
自転車の安全鉄則 (朝日新書)自転車の安全鉄則 (朝日新書)
(2008/11/13)
疋田 智

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これは大筋で正しいのですが、
現在のイギリスでは、事情が少し異なります。
本書の発行は2008年ですから、
この3年ほどの間に環境が変化した、
というべきかもしれません。

ロンドン交通局(TfL)のサイトによると、
●地下鉄
・折りたたみ自転車(ここでは折りたたんだ状態を指します):常時搭載可
・一般自転車:限定された路線において、平日の7:30~9:30および16:00~19:00以外は搭載可


「限定された路線」を見ると、
サークル・ライン、ディストリクト・ラインなどが対象になっている一方、
サークル・ラインの内側、すなわち都心部は常時NGです。

折りたたみ自転車は、時々持ち歩いている人がいますね。
DSC_2058.jpg

私も昨年、ブロンプトンイギリスで購入したその足で、
地下鉄に持ち込みました。
DSC_2068.jpg


●バス
・折りたたみ自転車:ドライバーの裁量により搭載可
・一般自転車:不可


折りたたみ自転車は、車椅子や大型の荷物に準じる扱いになるようです。


●ドックランド・ライト・レイルウェイ(DLR)
・折りたたみ自転車:常時搭載可
・一般自転車:不可


DLRは、東京のお台場を走る「ゆりかもめ」のような、
小型の車両を連結した列車です。


●オーバーグラウンド
・折りたたみ自転車:常時搭載可
・一般自転車:限定路線および限定時間帯で搭載可


「オーバーグラウンド」とは、ロンドンに近年登場した都市鉄道のこと。
地上を走るので、
「アンダーグラウンド=地下鉄」に対してこう呼ばれています。


●船
・折りたたみ自転車:常時搭載可
・一般自転車:常時搭載可


テムズ川を行き来する船には、普通の自転車も積めるようですね。


●コーチ(中長距離バス)
・予約時に確認



●トラム
・折りたたみ自転車:常時搭載可
・一般自転車:不可



●一般鉄道
さて、この次が「一般鉄道」なのですが、
これは会社によってマチマチです。

ところでイギリス、というか、日本以外の国には、
日本でいうところの私鉄はありません。
(私が知らないだけかもしれませんが、聞いたことがない)

たとえば東京のように、
京王、西武、京急といった民間会社が
それぞれ独自に鉄道を運営しているというケースは、
他国では見当たりません。

鉄道はすべて国営だったり公営だっりするのが一般的なのですが、
その一方で、イギリスでは従来の国鉄が分割され、
今ではすべて民営となってしまいました。
でもそれは、独自のネットワーク内で独自の運営を行っている日本の民鉄とは、
まったく性格が違うものです。

話がずれましたが、イギリスの旧国鉄は民営化されたため、
自転車の扱いに対しても各社で異なるのです。

こちらのページによると、
国鉄時代は認められていた一般自転車の車内持ち込みは、
民営化後に禁止されたケースが多かったようです

しかし現在は、自転車スペースを設けている車両をよくみかけます。
この車両は3台までOK。
DSC_2072.jpg

こちらは、ベビーカーや車椅子とともに、
自転車搭載可能な車両が指定されています。
DSC_9170.jpg

一般自転車の鉄道への持ち込みは、
現在では多くの鉄道会社で許可されているようです。
これはやはりロンドン・マリルボン駅での光景ですが、
自転車が通過できる改札口もありますから。
DSC_9991.jpg


一方、折りたたみであれば何の制限もありません。
こうやって荷物棚に置くこともできますね。
DSC_2073.jpg

イギリスでもブロンプトンが人気の理由は、
持ち込み制限を気にしなくてもいいことに尽きるのでは、
と思われます。
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tag : 輪行 ブロンプトン ロンドン イギリス

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Author:canalmania
1963年生まれ。
東京都在住。
家族は妻と2人の息子。

自転車のほか、
世界の水路、鉄道遺産
などに興味があります。

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