運河の混雑

2012/12/21

産業革命時代に建設されたイギリスの運河。
当時は全国にネットワークが張り巡らされ、
物流の要となった水の道は現在、
レジャー用の船「ナローボート」を楽しむ人たちで賑わっています。

イギリス運河の話題はこちらのブログで紹介していますが、
当時、船を曳いていた馬が歩くための側道「トゥパス」が、
現在は自転車道としても利用されています。

トゥパスは基本的にクルマが入ってこないので、
自転車にとっても走りやすいのですが、
ここ数年のブームで、
トゥパスを走る自転車が急増しており、
問題化しているようです。

混雑がひどいのは、やはりロンドン。
こちらの記事によると、
市内にあるリージェンツ運河では、
通勤時には別のルートを使うよう、
「指導」が行われているということ。

こういうシーン、荒川など、
日本のサイクリングロードでも見られる光景ですよね。
細かい事情は別にして、
自転車と歩行者の折り合いが難しくなってきているところは、
イギリスも同じということでしょう。

この写真は2008年の撮影。

あれから5年、おそらく自転車交通量は数倍に膨れ上がっているはずです。

「歩行者優先」という看板も所々に。

こちらは2010年ですが、
日曜日の撮影なので、
サイクリストものんびりしています。

橋の下はブラインドになっていて、
相当徐行しないと、向こうから来る自転車や歩行者と衝突します。

もしくは、自分が運河に落ちるか（笑）

ナローボートガイドのブラウン淳子さんによると、
運河を管理する団体、カナル＆リバー・トラストCanal & River Trustは、
サイクリストに「トゥパス通行ライセンス（許可証）」を発行しているということです。

イギリスの運河を船で利用する場合、
その用途や全長によって、
ライセンスを購入しなくてはなりません。

ライセンスは船体の側面などに表示し、
それがないと罰金を課されます。

トゥパスも運河に属するものなので、
船同様、自転車にもライセンスを課すのは当然といえば当然なのですが、
実際にはライセンスを掲示している自転車は皆無に近いとのこと。

カナル＆リバー・トラストの職員は、
定期・不定期にライセンスのない船を監視してまわっています。
船は、運河から逃げることはできないので、
違反者を見つけるのは簡単ですが、
他の公道と行ったり来たりしている自転車の違反者を摘発するのは、
事実上不可能。

しかし、これだけ自転車が増えてくると、
何らかの規制も必要になってくる、
という論調が日に日に強くなっている、
というのが昨今のイギリスの運河サイクリング事情だそうです。